貝毒について

春になると、アサリなどの潮干狩りが盛んになります。
貝類にはタンパク質、鉄や亜鉛などのミネラル、ビタミンやうまみ成分のコハク酸が含まれ、低カロリーで栄養価の高い食品です。
貝には巻貝や二枚貝などがありますが、二枚貝はときに毒を持つことがあります。
貝による食中毒は世界各地で報告され、日本でも発生したことがあります。

 

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どんな症状

日本の貝毒には、麻痺性貝毒と下痢性貝毒があります。
麻痺性貝毒による症状はフグ毒の症状と似ており、食後30分ぐらいから舌や唇がしびれ始め、体全体に麻痺が広がり、重症の場合は呼吸困難になり死亡することがあります。

下痢性貝毒による症状は、食後30分ぐらいから下痢、嘔吐、嘔気、腹痛などの症状が現れます。
回復は早く、後遺症や死亡例はありません。

 

貝毒はどうして作られる

貝毒は二枚貝によって作られるのでしょうか。
いいえ、そうではありません。

二枚貝は、大量の海水や淡水を吸い込み、これをろ過して集めたプランクトンを食べて生きています。
植物性プランクトンの中には、毒を作る種類があり、この毒を貝が蓄積して毒化するのです。
麻痺性貝毒はアレキサンドリウム属などのプランクトンが作り、成分はゴニオトキシンとサキシトキシンなどです。
下痢性貝毒はディノフィシス属などのプランクトンが作り、オカダ酸とディノフィシストキシンが代表的です。

余談ですが、フグの毒もフグが作るのではなく、細菌など他の生物が持つ毒を蓄積して毒化することが知られています。

 

 

貝による食中毒を防ぐには

 

県などの地方自治体は、貝毒による食中毒を防ぐため海水中のプラクトンの調査や、出荷前のアサリ、ヒオウギガイなど2枚貝の貝毒を測定しています。
もし基準をこえる貝毒が検出された場合は、漁業者へ出荷自粛要請を行い、毒化した貝が流通しないようにしています。
また、関係機関を通じて県民にアサリ等の採取をしないよう呼びかけています。

潮干狩りの際は、こういった情報にも注意しながら楽しく行いましょう。
もしも麻痺性貝毒の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

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